シリアツブリ(読み)しりあつぶり(その他表記)dye murex

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シリアツブリ」の意味・わかりやすい解説

シリアツブリ
しりあつぶり
dye murex
[学] Bolinus brandaris

軟体動物門腹足綱アクキガイ科の巻き貝。地中海東部の浅海に分布している。殻高65ミリメートル、殻径50ミリメートルぐらいに達する。殻は厚く、肩と殻底に短いが強い棘(とげ)があり、水管は細く伸びる。本種は、ツロツブリHexaplex trunculusとともに、古代にこの地方で栄えたフェニキアで、貝紫とよばれる染料をとった貝である。この染料は、貝の鰓下腺(さいかせん)から出る無色の分泌液が日光に当たって紫色になるもので、フェニキアのティルス港から輸出したので、ツーロ紫Tyrian purpleとよばれる。シリアツブリ1万個からツーロ紫1.5グラムしかとれず、たいへん高価で、皇帝や元老院議員のローブを染めるのに用いられた。

[奥谷喬司]

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