シリア語訳聖書(読み)シリアごやくせいしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シリア語訳聖書」の意味・わかりやすい解説

シリア語訳聖書
シリアごやくせいしょ

シリア語圏のキリスト教会で古代以来用いられてきたシリア語聖書には8世紀頃から「ペシッタ」 (単純な,慣用の,などの意) の名が与えられている。最古の手写本は5世紀にさかのぼるが,改訂は4世紀末以前に始ったらしい。他の古い新約聖書本文とは異なる独自の特徴をもち,新約本文研究上の貴重な資料である。旧約の部は,パレスチナのアラム語訳タルグムの影響を強く受けており,訳者がユダヤ人であることを推定させるが,ユダヤ人キリスト教徒の可能性もある。シリア語訳の古い聖書には,このほか「フィロクセノス聖書」 (6世紀初頭) ,オリゲネスヘクサプラに基づく「シロ・ヘクサプラ訳」 (7世紀頃) ,「ハルケル訳」 (7世紀初頭) などがある。

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