ヘクサプラ(その他表記)Hexapla

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘクサプラ」の意味・わかりやすい解説

ヘクサプラ
Hexapla

ギリシア語で「6重の」意。オリゲネスによってカエサレアで編まれた膨大な6欄の対訳旧約聖書。6欄聖書ともいう。6欄は,(1) ヘブライ語子音本文,(2) ギリシア文字によるヘブライ語の音写,(3) アクィラ訳,(4) シュンマコス訳,(5) 改訂セプトゥアギンタ,(6) テオドチオン訳となっており (いずれもギリシア語訳) ,本文批評も施されているが,特にヘブライ語との照合においてセプトゥアギンタを改訂することがねらいであったらしく,ほかのギリシア語訳も詳細に対照してある。 245年以前におそらく 20年の歳月をかけて完成され,約 7000ページから成ると推定される。イスラム教徒のパレスチナ侵入のとき (638) 喪失,のち断片が収集された。

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世界大百科事典(旧版)内のヘクサプラの言及

【オリゲネス】より

…これがアレクサンドリア学派神学の伝統となった。《ヘクサプラ》において旧約のヘブライ語原本と4種のギリシア語訳を並べ,本文校訂の試みを始めた。ルフィヌスのラテン語訳で伝わる《原理論》が主著で,神,人間,自由意志,聖書について系統的な記述を行い,組織神学のはしりとなった。…

【聖書】より

…後2世紀のユダヤ教徒訳としてはアクイラ訳,シュンマコス訳がある。これらとその他のギリシア語訳などを集大成したのがオリゲネスの《ヘクサプラ(六欄聖書)》である(後3世紀)。これらはその後諸地方本によって流布され,後4~5世紀の〈大文字写本〉に結実した。…

※「ヘクサプラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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