大学事典 「ジョウェット」の解説
ジョウェット
Benjamin
イギリスの古典学者・哲学者・神学者にして大学改革者。1817年,ロンドンに生まれる。セントポール校を経て1836年に奨学生としてオックスフォード大学(イギリス)ベリオル・カレッジ(イギリス)に入学。その2年後に同カレッジのフェローに選出されて以来,チューター,学寮長として1893年に死去するまでベリオル・カレッジを拠点に活躍した。この間,オックスフォード大学の欽定ギリシア語講座担当教授やオックスフォード大学総長(vice-chancellor)も務める。若い頃から「偉大なチューター」としての名声を確立するとともに,大学改革や官僚制改革に積極的に取り組み,改革派大学人・知識人として幅広い活動を行った。大学の門戸を広く開放してその民主化を図り,有能な「献身的国家エリート」を養成することが彼の目指した改革の方向であった。T.H. グリーンやA. トインビー(歴史家A.J. トインビーの叔父)など彼の影響を受けた人々は,のちにオックスフォード理想主義学派として知られることになる。古典学者としては,プラトン『国家篇』などの翻訳者として有名である。
著者: 安原義仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報