スイコバネガ(読み)すいこばねが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スイコバネガ」の意味・わかりやすい解説

スイコバネガ
すいこばねが / 垂小翅蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目スイコバネガ科Eriocraniidaeの総称。非常に小形のガを含む小さいグループで、北半球にだけ分布しており、日本では4種が知られている。前・後翅の脈相がほぼ等しいことから、鱗翅目のなかではかなり原始的な科である。成虫早春に出現し、昼飛性で暖かい日中に活動する。1年に1回発生し、卵は樹木の葉の組織内に産み込まれ、幼虫は葉の中に潜って組織を食べ、約10日で老熟する。蛹化(ようか)の際は土中に入り、繭をつくる。したがって一生のうちの大部分を地下生活で送ることになる。食樹はカバノキハンノキコナラ、クリなどが知られている。日本産の4種はすべて山地性で、そのうちキンマダラスイコバネは、はねの開張1センチメートル内外で、オオスイコバネはそれより大形であり、両種とも本州中部地方以北に分布し、4~5月に成虫が出現する。

[井上 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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