スキタイ美術(読み)スキタイびじゅつ(その他表記)Scythian art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スキタイ美術」の意味・わかりやすい解説

スキタイ美術
スキタイびじゅつ
Scythian art

スキタイ人は,黒海周辺のギリシア植民地文化と接触し,一方,南のアッシリア文化とも関係をもちながら独特の遊牧騎馬文化をつくりあげていた。スキタイ美術の特徴は文様化された動物モチーフを使うことにある。特にシカ,クマ,トナカイ,鳥などの形象を武器,鏡,旗頭馬具などの装飾に使い,一定の空間内で最大の内容を表現しようとするために,形象を効果的に図形化して装飾効果をあげている。また,いくつかのモチーフがからまり合って表現されている場合もあり,いずれの場合も硬い形式化が目立つが,強烈な生命感を発散している。もともと東方的な性格をもっているが,ギリシア,アッシリア的要素も含み,その写実性と形式化の示す内容は石器時代の狩猟図に連なるものがある。ノルウェーからシベリアにまたがる北極石器時代に源流があるとされ,また近年は古代イラン文化との関連が注目されるようになってきた。その文化は西方へはケルト・シベリア美術となって中国にも多大の影響を与えた。ロシアの考古学者コズロフによって発掘されたほか,モンゴル古墳群ノイン・ウラの染織類をはじめとする出土物 (1世紀頃) はその典型を示す現存例。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む