しか(読み)シカ

デジタル大辞泉の解説

しか[係助・終助]

[係助]名詞、名詞的な語、動詞の連体形、形容詞・形容動詞の連用形、一部の助詞・助動詞などに付く。打消しの語を伴って、特定の事柄以外のものを全く否定する意を表す。「この道を行くしかない」→きりだけ
[補説]近世以降用いられ、限定の助詞に付けて「きりしか」「だけしか」「ほかしか」「よりしか」の形で、「しか」を強めていう場合もある。
[終助]自己の願望を表す。…たいものだ。→てしがにしが
「まそ鏡見―と思ふ妹(いも)も逢はぬかも玉の緒の絶えたる恋の繁きこのころ」〈・二三六六〉
[補説]過去の助動詞「き」の已然形からとか、あるいは連体形「し」に終助詞「か」が付いてできたものとかいわれる。上代では「か」は清音であったが、後世しが」になった。「しか」だけで用いられることはまれで、多くは「てしか」「にしか」の形で用いられた。

し‐か[連語]

[連語]《副助詞「し」+係助詞「か」》「いつ」「たれ」「なに」などの疑問語に付いて、疑問の意味をさらに強める意を表す。
「玉くしげいつ―明けむ布勢(ふせ)の海の浦を行きつつ玉も拾(ひり)はむ」〈・四〇三八〉

しか[助動]

[助動]《過去の助動詞「き」の已然形》⇒[助動]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

し‐か

〘名〙 (「しかけ(仕掛)」の略) 計略。策略。
※歌舞伎・御摂勧進帳(1773)二番目「ようも今迄うぬが女房を妹にして、此家主をよくもしかにかけやあがったな」

しか

〘副助〙 体言・活用語の連体形・形容詞の連用形・格助詞・副助詞等をうけ、下に打消の語を伴う。肯定し得るものをそれだけと限定し、それ以外のものを否定する。
※洒落本・角雞卵(1784か)後夜の手管「おいらがつかいこんででもいるとしかおもはねへはナ」
※雲のゆき来(1965)〈中村真一郎〉一二「意識界が言語によってしかお互いのメッセージを通じ合せられないのとは異って」
[補注]まれに打消の語を伴わない例もある。「日本の下層社会〈横山源之助〉日本の社会運動」に「明治二十五年は僅に大約九百九十七万七千貫しかの産出にして」など。

しか

〘終助〙 自己の動作に関する願望を表わす。「てしか」「にしか」の形で用いられることが多い。…したい。
※続日本紀‐天平神護元年(765)閏一〇月二日・宣命「過無くも仕へ奉らしめて志可(シカ)と念ほしめして」
※万葉(8C後)三・三四三「なかなかに人とあらずは酒壺になりにて師鴨(かも)酒にしみなむ」
[語誌](1)すでに上代においても動詞連用形に直接付く例は限られ、助動詞「つ」の連用形「て」に付いた「てしか」の例が多い。中古には、「しか」が付く場合にも、助動詞「つ」「ぬ」が使い分けられて、「にしか」の例も生じる。
(2)語形については、中世以後も「古今訓点抄」などに「てしか」と清音に読んだ例が知られるが、近世以降、一般には「てしが」「にしが」と「か」は濁る形で読まれている。

し‐か

(助詞の「し」と「か」とがかさなったもの) 「いつ」「たれ」「なに」などの疑問語に付いて、疑問の意味をさらに強める。下にさらに助詞「も」の付くことが多い。→いつしかなにしか
※続日本紀‐天応元年(781)二月一七日・宣命「いつ之可(シカ)病止(い)えて参り入り来、朕が心も慰めまさむと」
※万葉(8C後)一五・三五八一「秋さらばあひ見むものを何之可(シカ)も霧に立つべく嘆きしまさむ」

しか

(過去の助動詞「き」の已然形) ⇒助動詞「き」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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