スタッズ・ロニガン(読み)すたっずろにがん(その他表記)Studs Lonigan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタッズ・ロニガン」の意味・わかりやすい解説

スタッズ・ロニガン
すたっずろにがん
Studs Lonigan

アメリカの作家、J・T・ファレル長編小説。『若いロニガン』(1932)、『スタッズ・ロニガンの青年時代』(1934)、『最後の審判の日』(1935)の三部よりなる。シカゴの貧民街サウスサイドを背景に、悪の環境に敗れ29歳の若さで病死してゆく青年ロニガンの人間像が、冷徹なドライサー流の自然主義的手法とジョイス流の「意識の流れ」の手法を用いて描かれる。作者はこの物語を「精神の貧困」からおこる悲劇としてとらえている。

[関口 功]

『石川信夫訳『若いロニガン』(1955・三笠書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のスタッズ・ロニガンの言及

【ファレル】より

…シカゴのアイルランド系移民が住むサウス・サイドに生まれ育ち,雑多な職業を経て入学したシカゴ大学に在学中から小説を書きはじめた。同地区の貧民の生活を素材に,家庭や学校や教会に代わって街頭や賭博場が教育機関となった当時の大都会の少年の転落の姿を,くどいほど克明なドライサー的自然主義の手法に,ジョイスに倣った〈意識の流れ〉の技法をも加えて描いた三部作《スタッズ・ロニガンStuds Lonigan(若きロニガン)》(1932),《スタッズ・ロニガンの青春時代》(1934),《審判の日》(1935)を発表。この代表作とは逆に,環境に反逆する精神的強さをもった主人公ダニー・オニールを設定してその運命をたどった《私の作らなかった世界》(1936)に始まる長編五部作も同工異曲である。…

※「スタッズ・ロニガン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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