物語(読み)ものがたり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物語
ものがたり

平安時代に発生した文学の様式。内容,性格によって,作り物語歌物語歴史物語説話文学軍記物語擬古物語などに分類されるが,単に物語というときは『源氏物語』に代表される作り物語をさす。作り物語は,架空の人物,事件を,仮名の散文によって,和歌を交えて描いたもので,10~11世紀を頂点としておびただしい作品が生れた。『竹取物語』以下『宇津保物語』『落窪物語』を経て,『源氏物語』にいたり,思想,感情,表現などにおいて高度の文学的達成をなしとげ,以後の作品はすべて『源氏物語』を規範としている。なお,物語論においても『源氏物語』の「蛍」の巻に示された虚構論が最もすぐれている。

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知恵蔵の解説

物語

小説」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉の解説

もの‐がたり【物語】

[名](スル)
さまざまの事柄について話すこと。語り合うこと。また、その内容。「世にも恐ろしい物語
特定の事柄の一部始終や古くから語り伝えられた話をすること。また、その話。「湖にまつわる物語
文学形態の一。作者の見聞や想像をもとに、人物・事件について語る形式で叙述した散文の文学作品。狭義には、平安時代の「竹取物語」「宇津保物語」などの作り物語、「伊勢物語」「大和物語」などの歌物語を経て、「源氏物語」へと展開し、鎌倉時代における擬古物語に至るまでのものをいう。広義には歴史物語・説話物語・軍記物語を含む。ものがたりぶみ。
歌舞伎人形浄瑠璃の演出の一。また、その局面。時代物で、立ち役が過去の思い出や述懐身振りを交えて語るもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

ものがたり【物語 narrative】


【物語とは何か】
 物語は,一般に,文学の基本的な要素と考えられている。ある人物がなんらかの行動をなして,なんらかの筋の展開が生ずれば,そこには物語が成立しているとされ,それに対して,静的な景物描写のような場合には物語の成立が認められないのである。この意味での物語は,いわゆる英雄叙事詩バラードなどのなかにも数多く見いだされる。その特徴は,中心となる人物の行動を軸として,作品が始め,中間,終りからなる完結性をもつことであろう。

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大辞林 第三版の解説

ものがたり【物語】

( 名 ) スル
あるまとまった内容のことを話すこと。ものがたること。また、その内容。話。談話。 「世にも悲しい-」 「知る人の許にて夜に入るまで-し/舞姫 鷗外
文学形態の一。広義には、散文による創作文学のうち、自照文学を除くものの総称。すなわち、作者が人物・事件などについて他人に語る形で記述した散文の文学作品。特に、人物描写に主眼のある小説に対して、事件の叙述を主とするものをさすことが多い。狭義には、日本の古典文学で、「竹取物語」「伊勢物語」に始まり、「宇津保物語」「源氏物語」で頂点に達し、鎌倉時代の擬古物語に至るまでのものをさす。歴史物語・説話物語・軍記物語を含めることもある。
浄瑠璃・歌舞伎の演出・演技の一形式。登場人物が過去の事件や心境を身振りを交えて物語る場面。「熊谷陣屋」の熊谷など。
男女が相語らうこと。情を交わすこと。 「夜すがら-せしを/浮世草子・一代女 2

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精選版 日本国語大辞典の解説

もの‐がたら・う ‥がたらふ【物語】

〘他ハ四〙 物事を語り合う。話し合う。話す。また、男女が契りをかわす。
※伊勢物語(10C前)二「それをかのまめ男、うちものがたらひて」

もの‐がたり【物語】

〘名〙
① (━する) 種々の話題について話すこと。語り合うこと。四方山(よもやま)の話をすること。また、その話。
※書紀(720)皇極元年四月(岩崎本訓)「親ら対ひて語話(モノカタリ)す」
② (━する) 特に男女が相かたらうこと。男女が契りをかわしたことを婉曲にいう。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「もし人もちかく御ものがたりやし給し」
③ (━する) 幼児が片言やわけのわからないことを言うこと。
※枕(10C終)一四〇「また、いとちひさきちごの、ものがたりし、たがへなどいふわざしたる」
④ (━する) 特定の事柄について、その一部始終を話すこと。また、その話。特に口承的な伝承、また、それを語ることをいうことがある。
※万葉(8C後)七・一二八七「青みづら依網(よさみ)の原に人も逢はぬかも石走る淡海県の物語(ものがたり)せむ」
※勝山記‐永正一五年(1518)「余り不思議さに書付て物語の為に置申候」
⑤ 日本の文学形態の一つ。作者の見聞または想像をもととし、人物・事件について人に語る形で叙述した散文の文学作品。狭義には平安時代の作り物語・歌物語をいい、鎌倉・南北朝時代のその模倣作品を含める。広義には歴史物語、説話物語、軍記物語などもいう。作り物語は、伝奇物語、写実物語などに分ける。ものがたりぶみ。
※観智院本三宝絵(984)上「又物語と云て女の御心をやる物也」
⑥ 浄瑠璃・歌舞伎で、時代物の主役が、過去の事件、思い出、心境の述懐などを物語る部分。また、その演出。「実盛(さねもり)物語」や、「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」の熊谷の物語などが名高い。
⑦ 江戸時代、家々の門に立ち古戦物語などの素読をして金品を乞うた者。〔随筆・守貞漫稿(1837‐53)〕
⑧ 近代文学で、ノベル(小説)に対し、一貫した筋を持つストーリーという概念にあてた語。また、…について述べたもの、の意で、題名に添えられることが多い。
[語誌]動詞の「ものがたる」が見られるのは中世以降だから、「ものがたる」の名詞形というよりは、奈良時代に成立していた「かたる」の名詞形「かたり」に「もの」を付けて、ある種の「語り」を区別するために成立した語と考えられる。多く見られるのは平安時代になってからである。

もの‐がた・る【物語】

〘他ラ五(四)〙
① 何か物事を語る。ある事について話を交す。
※大唐西域記長寛元年点(1163)三「或るときは諠(かまひす)しく語(モノカた)る声聞ゆ」
② あるまとまった話をする。
※談義本・根無草(1763‐69)後「譬に違はぬ鬼の目に涙ぐんで物語(モノガタ)れば」
③ ある事実がそのままある意味をはっきりと示す。
※金(1926)〈宮嶋資夫〉二「底力のある錆た声が〈略〉錬え上げた人間である事を物語(モノガタ)ってゐるようで」

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世界大百科事典内の物語の言及

【主人公】より

…運命として機能する環境ないし権力ある他者との葛藤は悲劇を生む(ロミオとジュリエット,ブリタニキュス)。あらゆる文学作品は,脈絡のある説述,事件,行動を枠組みとした物語を含むが,その物語形式の軸をなすのが,主人公の存在である。古典的物語形式は原則として単数軸(1人もしくは1組の主人公)を想定するが,近代以降,《ゴリオ爺さん》(バルザック)のような複数軸の作品が多くなった。…

【物語文学】より

…日本文学史の用語。あらゆる民族,あらゆる時代がそれぞれ物語をもつ。神話や叙事詩や昔話や小説,これらはみな物語にぞくする。…

※「物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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