改訂新版 世界大百科事典 「ストグラフ会議」の意味・わかりやすい解説
ストグラフ会議 (ストグラフかいぎ)
ロシアの皇帝イワン4世の国政改革事業の一環として,1551年にモスクワで開かれたロシア正教会の主教会議。決議が100章にまとめられたことから,ストグラフstoglav(100章)会議と呼ばれる。当時のロシア正教会は長年の孤立の結果,他の東方正教会との教会慣行上の違いが目立ち,また典礼文の誤りも放置され,聖職者の規律もゆるんでいた。さらに教会財産の肥大化と修道院の所領拡大は為政者にとって大きな弊害となっていた。会議は教会と修道院の改革を目標に開かれ,モスクワ府主教マカーリーMakarii(1482-1563)が主宰した。しかし典礼文と教会慣行の修正は実現せず,従前のものがすべて正しいとされた。イワン4世としてはこの会議の最大の眼目は修道院所領の世俗化にあったが,マカーリーをはじめとする教会人はそれに抵抗し,結局,修道院への土地寄進と修道院の土地購入に多少の制限を付すことが決められただけで,修道院所領の世俗化には手がつけられなかった。
執筆者:森安 達也
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