改訂新版 世界大百科事典 「スベッレ」の意味・わかりやすい解説
スベッレ
Sverre Sigurdsson
生没年:1151?-1202
ノルウェー王。在位1177-1202年。スベッレ朝(1177-1319)の祖。1155年に殺された王シグル・ムンの庶子を称す。当時指導者を失っていた貧農出身の徒党ビルケベイネルの領袖となり,王位を要求,マグヌス・エルリングスソンMagnus Erlingsson王(在位1161-84)と戦い,ニダロスを奪取,王位を得る(1177)。教会と門閥豪族の支持を受けたマグヌス王とのながい戦いに勝ち抜いたため,1184年の勝利後は,独自の権力による強力な王朝を組織した。古い地方豪族と区別された,貧農出身者などによる官僚制の創出,強力な常備軍(ビルケベイネル),古い海軍役(レイザング)の一部代納による一般租税の導入,王の息子はすべて共同の王となる伝統にかえて一人王制の確立,などにより中世国家の確立者とされる。しかし教会に加え,租税徴収のために東部の農民を敵にまわし,終生を内乱との戦いに費やした。
執筆者:熊野 聰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報