すべて王の臣下(読み)すべておうのしんか(その他表記)All the King's Men

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「すべて王の臣下」の意味・わかりやすい解説

すべて王の臣下
すべておうのしんか
All the King's Men

アメリカの小説家,批評家ロバート・ペン・ウォレンの小説。 1946年刊。歴史学を専攻した知的で虚無的な青年ジャック・バーデンの目を通して,ルイジアナ州の政治家ヒューイ・ロングをモデルにした扇動的な政治家ウィリー・スターク興亡を描いたもの。この小説はスタークの物語であると同時にバーデンの物語でもあり,スタークの非人間的な政治観の失敗をみるに及び,バーデンは過去の追憶を通して次第に自己認識に目ざめていく。ギリシア悲劇の父殺しのパターンをふまえ,かつ多くの死をもって終るこの作品は,その詩的な瞑想と哲学性とによって,自然主義的手法をとりながら豊かな象徴性をそなえた,作者の最高傑作の一つである。題名イギリスの伝承歌謡『マザー・グースの歌』のなかのハンプティ・ダンプティの歌からとられている。

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