日本大百科全書(ニッポニカ) 「すべて王の臣」の意味・わかりやすい解説
すべて王の臣
すべておうのしん
All the King's Men
アメリカの作家R・P・ウォーレンの長編小説。1946年刊。ピュリッツァー賞受賞作(1947)。1928年から1935年にわたるルイジアナ州の独裁的政治家ヒューイ・ロングの腐敗と暴力に満ちた政治活動を小説の背景に利用し、混濁の社会を生きる青年ジャック・バードンの精神の成長過程を詳細に描く。政治的権力がもたらす退廃と破滅を描きながら、現代人の悲劇の正体を追求しようとした政治小説。扉にイタリアの詩人ダンテの『神曲』煉獄(れんごく)編からの引用「希望が緑色をたもって枯れぬかぎり」があることから、人間の魂の安眠と未来への希望が託されている。
[原川恭一]
『鈴木重吉訳『すべて王の臣』(1966・白水社)』
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