正体(読み)ショウタイ

デジタル大辞泉 「正体」の意味・読み・例文・類語

しょう‐たい〔シヤウ‐〕【正体】

《古くは「しょうだい」》
隠されているそのもの本来の姿。本体。「正体を現す」「正体不明の怪人物」
正常に意識が働いているときのようす。正気。「正体もなく眠る」
(「御正体」の形で)神仏の本体。神体
「御―をば取りて本宮にゐてたてまつりて」〈今昔三一・一〉
[類語](1実像実際/(2意識正気人心地人心

せい‐たい【正体】

正しい形体。正しい姿。
写植文字基準となる字体。字づらは通常書体では正方形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「正体」の意味・読み・例文・類語

しょう‐たいシャウ‥【正体】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「しょうだい」 )
  2. そのものの実際の姿。変化(へんげ)する前の姿。また、ものごとの本質、精髄。本体。実体
    1. [初出の実例]「第二正説。正者経之正体」(出典:勝鬘経義疏(611)歎仏真実功徳章)
    2. 「両人していぶいて正体をあらはし」(出典:虎寛本狂言・狐塚(室町末‐近世初))
    3. 「脇は何を正躰にするそ。シテを正躰にする也。シテは何をするそ。能の本来の、正躰の間の有所の、あたる所をする也」(出典:花伝髄脳記(1584頃)灌頂之巻)
  3. 神体。聖体。多く、上に「御」をつけていう。
    1. [初出の実例]「安置七宝筥於宝殿中、是称御正体」(出典:左経記‐長元四年(1031)一〇月一七日)
    2. 「Xǒdai(シャウダイ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  4. 正気。たしかな精神。→正体がない
    1. [初出の実例]「正体もならもろはくのやよひ哉〈親重〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)二)
  5. 詩文・歌・連俳などの、あるべき姿。
    1. [初出の実例]「無正体歌読みいだして、毀人の難をだにおひぬれば」(出典:毎月抄(1219))

せい‐たい【正体】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 正しい体。正しい姿。本体。
    1. [初出の実例]「変体は正体にをとれり」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)
    2. [その他の文献]〔陸機‐羽扇賦〕
  3. ( 「儀礼喪服」の「正体於上」による ) 血筋の正しいもの。長子、または太子などをいう。
    1. [初出の実例]「皇氏を出でて初めて源の姓を給はり、せいたいを去りて人臣に列り給ひて後」(出典:寛永版曾我物語(南北朝頃)一)
  4. 印刷字体で、斜体(斜めの字体)・長体(縦長の字体)・平体(横長の字体)などに対して、通常の字体をいう。

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普及版 字通 「正体」の読み・字形・画数・意味

【正体】せいたい

本体。

字通「正」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の正体の言及

【神道】より

…神々が来臨する祭りの場では,依代・尸童が神とされ,岩や巨木,鏡・剣・玉などが礼拝の対象となっていた。やがて神社が建てられるようになると,仏教の寺院に対して考えても,神殿に安置するものが必要になり,平安時代に入って神体・正体ということばが用いられるようになった。神体は,神々の性格に応じて宝器,農具,武具,狩猟具などさまざまなものが選ばれた。…

※「正体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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