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腐敗 ふはいputrefaction

翻訳|putrefaction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

腐敗
ふはい
putrefaction

有機物が微生物の作用によって変質する現象。変化の状態によって,(1) 味をそこなったり不快臭や有毒物質を生成する場合と,(2) かえって有用かまたは無害な変質・変化がある。 (1) が狭義の腐敗である。腐敗に関与する微生物は 20~40℃,高湿度で繁殖しやすいので,夏季には食物が腐敗しやすい。獣魚肉の腐敗による不快臭は,アンモニアアミン硫化水素メルカプタンスカトールインドールなどによる。

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デジタル大辞泉の解説

ふ‐はい【腐敗】

[名](スル)
有機物が微生物の作用によって分解され、有毒物質を生じたり悪臭を放つようになったりすること。くさること。→変敗
精神が堕落し、悪徳がはびこること。「腐敗した政界

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百科事典マイペディアの解説

腐敗【ふはい】

生物の遺体や排出物などの有機物が微生物の作用によって分解する現象をいう。普通,酸化的な不完全分解を伴い,とくにタンパク質の腐敗ではインドール,アミン類,硫化水素など悪臭のある気体が発生する。
→関連項目発酵

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栄養・生化学辞典の解説

腐敗

 微生物の増殖によって食品が劣化して飲食に不適な状態になること.

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世界大百科事典 第2版の解説

ふはい【腐敗 putrefaction】

食品,生物の遺骸,分泌物,排出物などの有機物が,微生物の作用によって分解して変質し,悪臭などを生成する現象をいう。腐敗が起こると,多くの場合に酸素の供給が不十分な状態で,微生物による代謝が発酵的な型式によって進行するため,種々の不完全分解物が生成する。とくにタンパク質からは各種のアミン,低級脂肪酸,メルカプタン,硫化水素,インドール,スカトール,アンモニアなど,悪臭の原因となる多くの物質が生成するので,一般に腐敗の主要基質とみなされるが,炭水化物,糖からも酪酸プロピオン酸アセトインジアセチルなど,脂質からも各種の低級脂肪酸やカルボニル化合物が生成して悪臭の原因となる。

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大辞林 第三版の解説

ふはい【腐敗】

( 名 ) スル
有機物質が微生物の作用によって分解され、悪臭を放つようになったり有毒物質を生じたりすること。
堕落すること。 「政治の-をなげく」 〔の意として漢籍に載る。「英和対訳袖珍辞書」(1862年)に putrefaction の訳語として「腐敗サセル」がある〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

腐敗
ふはい

生物の遺骸(いがい)(死んだ個体や組織)や排出物など窒素を含む有機物質が、嫌気的細菌の働きによって不完全分解する現象をいう。タンパク質は、細菌の生産する加水分解酵素により分解されてアミノ酸となる。アミノ酸からは脱アミノ反応によって低級脂肪酸やアンモニアが生じ、脱カルボキシ(カルボキシル)反応によってアミンが生じる。また、硫黄(いおう)原子を含む含硫アミノ酸からは含硫化合物が生じる。脂肪も不完全分解によって低級脂肪酸を生ずる。糖は発酵してエタノール(エチルアルコール)やブタノールなどのアルコール類のほか、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの低級脂肪酸、アセトインやジアセチルなどの低分子ケトン類を生ずる。これらの過程では二酸化炭素、水素、メタンなどのガスも発生する。有機物の嫌気的分解によって生じるこれらの物質の多くは悪臭を発するが、これがいわゆる腐敗臭である。腐敗をおこす細菌は多種あり、とくに枯草(こそう)菌、クロストリジウム、シュドモナス(プソイドモナス)などがよく知られている。大腸菌は哺乳(ほにゅう)類の腸内に普通にみられる細菌で、個体が生きている間は消化を助ける働きをしているが、死ぬとその腐敗に重要な役割を果たす。
 腐敗がおこるためには水分が必要であり、また、細菌が繁殖しやすい20~40℃が適温で、したがって夏季に腐敗が生じやすい。食品の防腐保存に、冷蔵、冷凍、乾燥、加熱、脱水、燻煙(くんえん)などを行うのは、細菌の繁殖を妨げるためである。防腐剤も用いられるが、その抗菌作用は人体に有害なものが多い。
 腐敗は不快な現象であるが、自然界においてはきわめてたいせつで、生体で利用されていた複雑な有機窒素化合物を、簡単な有機窒素化合物や無機窒素化合物に変化させ、これによって生物が窒素を循環利用できる仕組みが形成されている。[嶋田 拓]

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