日本大百科全書(ニッポニカ) 「スムール」の意味・わかりやすい解説
スムール
すむーる
Юхан Смуул/Yuhan Smuul
(1922―1971)
エストニア共和国の詩人、作家。漁師の家に生まれる。幼時から家業を手伝っていたが、20歳ごろから詩を書き始め、処女詩集『きびしい青春』(1946)以来、硬質の叙情を特徴とする数冊の詩集を刊行する。ソ連の『プラウダ』紙特派員として南極遠征隊に参加し、ルポルタージュ『氷の本』(1959)を書き、文学の新しい領域を開拓するものとして、1961年、レーニン賞を受賞した。この作品は各国語に翻訳された。中編『日本海、12月』(1963)、戯曲『連隊長未亡人』(1965)、『狐の到来まで』(1969)などを残した。
[水野忠夫]
『江川卓・水野忠夫訳『氷の本』(1964・日本文華社)』