改訂新版 世界大百科事典 「スールヤシッダーンタ」の意味・わかりやすい解説
スールヤ・シッダーンタ
Sūrya-siddhānta
インドの古典天文学書。同じタイトルで二つの書物が知られている。一つはアールヤバタ(476-?)の弟子ラータデーバLāṭadevaが,アールダラートリカĀrdharātrika学派に基づいて著したものであるが,バラーハミヒラによる引用でしか残っていない。もう一つは8~9世紀に著されたもので著者は不明であるが,いろいろな学派をうまく折衷しており,よくまとまっているのできわめてよく読まれるようになった。ふつう《スールヤ・シッダーンタ》というときは後者をさす。多くの注釈書が書かれ,異本も多い。1860年バージェスにより英訳され,西洋の学者に最も早く紹介されたインド古典天文学書になった。
執筆者:矢野 道雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報