改訂新版 世界大百科事典 「バラーハミヒラ」の意味・わかりやすい解説
バラーハミヒラ
Varāhamihira
6世紀に学問の都,西インドのウッジャイニー(現,ウッジャイン)で活躍した博学者。生没年不詳。インドへ移住したゾロアスター教徒の末裔で,〈マガのバラモン〉と呼ばれる(マガはゾロアスター教の神官の意)。ジョーティシャと呼ばれる学問の三大分野のそれぞれにすぐれた作品を残した。《パンチャ・シッダーンティカー》は数理天文学(ガニタ)に関する五つの書物を要領よくまとめたものである。《ブリハット・サンヒター》は前兆と占い全般について詳細かつ包括的に述べたものであり,一種の百科全書の趣を呈している。《ブリハッ・ジャータカ》はヘレニズム起源のホロスコープ占星術のインド化した形態をみごとにまとめたものである。科学者としては独創性に欠けるが,その教養の広さのゆえにインドに関する大きな情報源となっている。
執筆者:矢野 道雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報