ずく鋳物(読み)ずくいもの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ずく鋳物」の意味・わかりやすい解説

ずく鋳物
ずくいもの

普通鋳鉄あるいはねずみ鋳鉄でつくった鋳物を意味する現場用語。炭素を3.5%あるいはそれ以上、ケイ素を2%程度含む鋳鉄はキュポラ電気炉溶融も容易であり、凝固温度も1200℃以下と低いので鋳型内の流動性もよく、また凝固時の体積変化も少ないので鋳物がきわめてつくりやすい。ただし機械的性質はとくに優れてはおらず、引張り強さが1平方ミリメートル当り20キログラム程度、伸びはほとんどなく、重要な高強度の機械部品としては使われないが、それほど強度を必要としない箇所の機械部品や多くの日用品鋳物には広く用いられている。

[井川克也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のずく鋳物の言及

【鋳物】より

…鉄鋼鋳物は,さらに鋳鉄と鋳鋼に分類されるが,鋳物の約8割を鋳鉄鋳物が占めており,その大部分がねずみ鋳鉄である。鋳鉄鋳物(ずく鋳物)は,比較的強度が低くもろいが,鋳造が容易で安価であるため広く用いられている。これは,基地組織(フェライトパーライトなど)の中に片状の黒鉛が分布した組織となっている。…

【鋳鉄・鋳鋼】より

…鋳鉄cast ironとは銑鋳物(ずく鋳物)用の銑鉄または銑鋳物そのものをいう。炭素3.0~3.6%,ケイ素1~2%,マンガン0.5~1.0%,リン0.3~1.0%,硫黄0.06~0.1%を含む鉄合金で,鋳造しやすく,また切削加工しやすい材料である。…

※「ずく鋳物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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