改訂新版 世界大百科事典 「ゼロゼロセブンシリーズ」の意味・わかりやすい解説
ゼロゼロセブンシリーズ (〈007〉シリーズ)
コードナンバー〈007〉の超人的なイギリス人スパイ,ジェームズ・ボンドJames Bondが主人公の国際的な冒険活劇シリーズ。イアン・フレミングの原作小説も好評だったが,映画化第1作の《007/ドクター・ノオ》(1962)に続く《007/ロシアより愛をこめて》(1963)が人気を決定づけ,陽性のスパイ活劇のブームを呼び,多くの亜流を生んだ。製作はハリー・サルツマンとアルバート・ブロッコリによるものが,1983年までに13作(1977年の第10作《007/私を愛したスパイ》以降はブロッコリの単独製作)を数え,ジョン・バリーのテーマ音楽,モーリス・バインダーの官能的なタイトル・デザイン(第2作と第3作はロバート・ブラウンジョンとトレバー・ボンド)も名物となった。ボンド役は,第1~第5作および第7作がショーン・コネリー,第6作《女王陛下の007》(1969)のみジョージ・レーゼンビー,第8作《007/死ぬのは奴らだ》(1973)以降がロジャー・ムーアとなる。第4作《007/サンダーボール作戦》(1965)あたりからSF色が濃くなり,第8作からパロディ,楽屋落ちが目だちはじめ,ボンドのヒーロー性は薄れてきた。このシリーズとは別の単発作品として《007/カジノ・ロワイヤル》(1967)という,おふざけに徹した怪作と,初代ボンドのコネリーを復活させた《ネバーセイ・ネバーアゲイン》(1983)がある(その後89年までに16作を数え,ボンド役も第15・16作はティモシー・ダルトンとなった)。
執筆者:森 卓也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報