改訂新版 世界大百科事典 「ジェームズボンド」の意味・わかりやすい解説
ジェームズ・ボンド
James Bond
イギリスの作家I.フレミング作《カジノ・ロアイヤル》(1953)から《オクトパシー》(1966)までの小説の主人公として登場する,イギリス情報部のスパイ007。美男子で超人的能力の持主で,しかもイギリス紳士の典型のような彼は,世界をまたにかけて活躍し,多くの女性たちを魅了する。このような設定は映画に最適であるためか,《ドクター・ノー》(1958)が1962年に映画化(《007は殺しの番号》)されたのを最初として,《ロシアより愛をこめて》(1957,映画化1963)など,ほとんどの作品が映画になっている。初代のボンド役はショーン・コネリーで,作品ごとに性的魅力あふれる若い女優(いわゆるボンド・ガール)が相手をつとめた。後にロジャー・ムーアもボンド役を引き受け,作者フレミングが64年に死んだ後も,他人が書いたボンド冒険物語が次々に映画化され,パロディ,漫画も登場,ボンドはターザンのような民衆のヒーローとなった。
→〈007〉シリーズ
執筆者:小池 滋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報