内科学 第10版 「その他のグリコーゲン病」の解説
その他のグリコーゲン病(グリコーゲン病(糖原病))
ホスホリラーゼbキナーゼ欠損症では,不活性型のホスホリラーゼを活性型に変換できないためMcArdle病と類似の症状を呈する.
ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症は溶血性貧血,運動後の筋痛,脱力,ミオグロビン尿,中枢神経症状などを呈する.阻血運動負荷試験で乳酸の上昇を認めない.筋病理はグリコーゲンの増加は少なく正常所見を示す.
ホスホグリセリン酸ムターゼ欠損症は筋型サブユニットの欠損により運動後の筋痛,筋拘縮,ミオグロビン尿を呈し血清CK上昇を伴う.阻血運動負荷試験で乳酸の上昇を認めない.筋病理ではグリコーゲンの軽度の蓄積を認める.
M型乳酸脱水素酵素欠損症は運動後の筋痛,筋拘縮,ミオグロビン尿を呈する.筋疾患では通常血清CKとともに上昇するLDHが,本症では上昇しないのが特徴である.阻血運動負荷試験でピルビン酸が著明に上昇するが,乳酸の上昇を認めない.LDHは心筋型(H型)と骨格筋型(M型)のサブユニットからなる四量体であるが,本症では骨格筋型のサブユニットのみ欠損している. その他まれではあるが筋萎縮,筋脱力を呈するホスホグルコムターゼ欠損症や溶血性貧血,筋力低下,ミオグロビン尿などを呈するA型アルドラーゼ欠損症も報告されている.また近年,グリコーゲン合成に関与するグリコーゲンシンターゼ1やグリコゲニン1の欠損によりグリコーゲン欠損をきたし骨格筋や心筋の障害を生ずることが明らかになった.[樋口逸郎]
■文献
Dimauro S, Hays AP, et al: Nonlysosomal glycogenoses. In: Myology, 3rd ed, pp1535-1558, McGraw-Hill, New York, 2004.糖原病Ⅱ型(ポンペ病)ガイドライン編集委員会(代表 衞藤義勝):糖原病Ⅱ型(ポンペ病)診断治療ガイドライン,イーエヌメディックス,東京,2007.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報