その他の肝原発性悪性腫瘍

内科学 第10版 の解説

その他の肝原発性悪性腫瘍(肝腫瘍)

定義・概念・分類
 日本肝癌研究会の追跡調査によれば肝細胞癌(94%),肝内胆管癌(4%)混合型肝癌(1%)以外の悪性腫瘍はきわめてまれである.頻度は胆管囊胞腺癌(0.13%),肝芽腫(0.07%),肉腫(0.04%),未分化型癌(0.04%)ときわめてまれである.
1)胆管囊胞腺癌(bile duct cystadenocarcinoma):
乳頭状増生を示す粘液産生上皮で覆われた囊胞状の悪性腫瘍である.多くは多房性で囊胞内に粘液を含む.女性では上皮直下に間葉系間質を伴うことがある.胆管囊胞腺腫との鑑別は細胞の異型性,核分裂の頻度,周囲組織への浸潤性増殖の有無などが指標となる.しばしば胆管囊胞腺癌内に胆管囊胞腺腫成分が混在する.
2)肝芽腫(hepatoblastoma):
胎生期の肝実質に類似する悪性腫瘍で間葉成分を伴うものと伴わないものがある.本腫瘍の分類は①高分化型(いわゆる胎児型),②低分化型(いわゆる胎芽型),③未熟型(いわゆる未分化型)の3型に分けられる.切除が可能であれば予後は良好であるが,それ以外の治療法はほぼ無効で試みられない.[工藤正俊]
■文献
Kojiro M, Wanless IR, et al: The International Consensus Group for Hepatocellular Neoplasia:Pathologic diagnosis of early hepatocellular carcinoma: a report of the international consensus group for hepatocellular neoplasia. Hepatology, 49: 658-664, 2009.
Makuuchi M, Kokudo N, et al: Development of evidence-based clinical guidelines for the diagnosis and treatment of hepatocellular carcinoma in Japan. Hepatol Res, 38: 37-51, 2008.
Kudo M, Izumi N, et al: Management of hepatocellular carcinoma in Japan: Consensus-Based Clinical Practice Guidelines proposed by the Japan Society of Hepatology (JSH) 2010 updated version. Digest Dis, 29: 339-364, 2011.

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