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核分裂 かくぶんれつnuclear fission

翻訳|nuclear fission

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

核分裂
かくぶんれつ
nuclear fission

ウランやトリウムなどの重い原子核が,同程度の質量数をもつ2個以上の原子核に分裂する核反応。 1938年 O.ハーンと F.シュトラスマンが発見した。核分裂においては,非常に大きなエネルギーが放出される。代表的な核分裂は,ウランの同位体ウラン 235が熱中性子を捕獲して2個ないし3個の中性子を放出するとともに質量数 96と 140を中心とする2個の原子核に分裂する現象で,このとき2個の原子核の運動エネルギーとして解放されるエネルギーは約 200MeV に達する。放出中性子を他のウラン 235が捕獲すると核分裂が起り,次々に連鎖反応を引起す。この連鎖反応を一時に起すのが原子爆弾であり,制御しつつ進行させるのが原子炉である。核分裂で生成される原子核の多くは放射性で,β崩壊を2回ないし5回続けて安定な原子核となる。熱中性子のほかに低・高エネルギー中性子,重水素核,α粒子,γ線などにより原子番号 73以上の核種で核分裂が起ることがある。また通常の二体分裂の約 0.3%の割合で3個の原子核に分裂する三体分裂,約 0.03%の割合で4個に分裂する四体分裂が起る。粒子照射などによらない自発核分裂も起るが,その確率は一般にきわめて小さい。

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知恵蔵の解説

核分裂

原子核がほぼ同じ大きさの2つの原子核(核分裂片)に分裂することをさす。ウラン(U)に中性子が衝突したときに起こる現象として最初に発見された。プルトニウム(PU)などでも起こり、これらを核分裂性物質という。核分裂すると、2〜3個の中性子が飛び出す。この中性子が次の核分裂を起こし、そこで生じた中性子がまた核分裂の引き金になる。そういうことが繰り返されるのが核分裂連鎖反応。ちょうど1個の中性子だけが連鎖反応を起こしていく状態が臨界。1個を超えると核分裂が急速に増える。核燃料工場などで起こると臨界事故になる。原子炉は、臨界状態を保つように制御されている。核分裂では化学反応とはけた違いのエネルギーが放出され、1gのウランの核分裂は石炭3tが燃えた場合に相当する。臨界が起こる最少量が臨界量で、形や不純物の割合で大きく変わる。球形の金属ウランでは約15kg、金属PU239は数kgといわれている。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

かく‐ぶんれつ【核分裂】

ウランプルトニウムなどの重い原子核が、中性子などとの衝突によって同程度の質量の2個以上の原子核に分かれる現象。その際に大きなエネルギーを出す。同時に2、3個の中性子も発生するため、連鎖反応を起こす可能性をもつ。原子核分裂
細胞分裂のとき、細胞質の分裂に先立って、が二つに分かれる現象。通常は有糸分裂の形式をとるが、無糸分裂もある。細胞核分裂。

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世界大百科事典 第2版の解説

かくぶんれつ【核分裂 nuclear fission】

ウラン,プルトニウム,トリウムなどの重い原子核で起こる核反応の一種で,これらの原子核がほぼ同じ大きさの二つの原子核に分裂する現象。原子核分裂ともいう。中性子,陽子,α粒子,光子などで原子核を励起すると分裂しやすいが,自然に分裂する場合もある。これを自発核分裂と呼ぶ。核分裂を起こす性質をもった物質を核分裂性物質,核分裂の結果生ずる原子核を核分裂破片,二つの核分裂破片の質量差がかなり大きい核分裂を非対称核分裂という。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

かくぶんれつ【核分裂】

〘物〙 トリウム・ウラン・プルトニウムなどの原子核が陽子・中性子・アルファ線・ガンマ線との衝突によって、ほぼ同じ質量の二つ(またはそれ以上)の原子核に分裂すること。分裂の際に二、三個の中性子が放出される。これを利用してさらに連鎖反応を起こさせると、大きなエネルギーを放出することができる。これが原子爆弾や原子炉での基本的な反応となっている。原子核分裂。
〘生〙 細胞分裂の過程で、核が分裂し二つの嬢核を形成すること。

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世界大百科事典内の核分裂の言及

【核反応】より

…38年O.ハーンとF.シュトラスマンは,原子番号92のウランに中性子を衝突させて得られる反応生成物の中に,原子番号56のバリウムがあることを発見した。これはウランの原子核がほぼ真二つに壊れる核分裂という新現象を示すもので,核エネルギー,いわゆる原子力利用の重要な鍵となった。同じころH.A.ベーテらは,太陽や他の恒星のエネルギーの根源が核反応であることを明らかにした(恒星)。…

【原子核】より


[原子核物理学の発達]
 この分野の研究は,その後続々と発見された新しい粒子と,その間の相互作用を扱う素粒子物理学と原子核そのものを研究対象とする原子核物理学とに分かれ,後者では,原子核のさまざまな性質を核力から出発して説明しようとする基礎論と,比較的簡単な模型(原子核模型)によって観測されている事実を系統的に記述しようとする現象論とが並行して発達した。原子核模型としては,まず,原子核の核子密度や核子当りの結合エネルギーが質量数にあまり依存しないという飽和性から,原子核を液滴で近似する液滴模型が提唱され,この模型は原子核のおおまかな性質を説明するのに成功すると同時に,核分裂過程,原子核の集団運動,さらには最近の重い原子核どうしの衝突などを記述する模型の出発点となっている。一方,陽子数または中性子数が魔法数と呼ばれる特別の数となる原子核は安定であることや原子核のスピンを説明するために,原子で成功した殻模型がM.G.メイヤー,H.D.イェンゼンによって導入された。…

【マイトナー】より

…38年7月,ナチスの迫害からのがれるためドイツを脱出し,オランダ,デンマークを経てスウェーデンに亡命した。ドイツで実験を継続していたハーンから,ウランに中性子を照射したときの生成物中に放射性のバリウムが検出(1938)されたとの知らせを受けると,甥のフリッシュOtto Robert Frisch(1904‐79)とともにバリウム生成を解明するために,N.ボーアによって提唱されていた原子核の液滴モデルを使用して39年核分裂の概念を提出した。第2次世界大戦中は,原爆開発研究への参加要請を拒否してノーベル研究所で働き,47年に退職した。…

※「核分裂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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