化学辞典 第2版 「ソハイオ触媒」の解説
ソハイオ触媒
ソハイオショクバイ
Sohio catalyst
プロペンのアンモ酸化によりアクリロニトリルを製造するソハイオ法の触媒.発展初期にはBi9PMo12O52の組成に相当するP2O5-MoO3-Bi2O3触媒(シリカ担体)が使用されたが,アセトニトリル,青酸などが副生し,アクリロニトリル収率は60% 程度であった.その後,劣化ウランを利用したU3O8-Sb2O3触媒が開発され,アセトニトリルの副生が減少し,アクリロニトリル収率が向上したが,残留放射能の問題で,短期間の実用後使用が禁止された.これを機に劣化ウラン触媒を上まわるFe2O3-Sb2O3-TeO系(日東化学)をはじめ,種々の改良触媒が各社で開発され,Standard Oil of Ohio社(Sohio社,現Innovene社)もMoO3-Bi2O3-Fe2O3系を主とし,さらに微量の金属酸化物を種々添加した触媒に改良された.これらの触媒ではアセトニトリルおよび,青酸の副生も減少し,アクリロニトリルの収率は80% 程度に向上している.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報


ほかにメタンのアンモ酸化によるシアン化水素(青酸)合成も知られている。
このアクリロニトリル合成反応は1960年にスタンダード・オイル・オブ・オハイオ社Standard Oil Co.of Ohioによって最初に工業化されソハイオ法Sohio processと呼ばれ,またこの時に用いられた触媒はモリブデンおよびビスマスの複合酸化物とリンを主要成分とするもので,ソハイオ触媒と呼ばれた。その後,同様の原理を用いながらも触媒系や反応器形式の異なる種々の方法が開発されて現在に至っている。…