日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセトニトリル」の意味・わかりやすい解説
アセトニトリル
あせとにとりる
acetonitrile
酢酸CH3COOHのニトリルに相当する化合物。正式にはエタンニトリルというが、一般的にはアセトニトリルといわれている。シアン化メチル、シアン化メタンともいう。
エーテルに似たにおいのする無色の液体。工業的にはプロピレンのアンモ酸化法によるアクリロニトリルCH2=CHCN合成の際の副生成物として製造されている。
3CH2=CHCN+2NH3+2O2
―→3CH3CN+2HCN+CO2+2H2O
多くの有機溶媒、水に溶ける。加水分解するとアセトアミド、酢酸となる。ビタミンB1、サルファ剤、香料などの原料となる。ブチレン、ブタジエンの抽出剤、タール分除去溶剤、紡糸溶剤などとしての用途もある。非プロトン性極性溶媒として有機合成反応にも用いられる。毒性があるので、取扱いには注意を要する。
[谷利陸平]