知恵蔵 「ダルビッシュ有」の解説
ダルビッシュ有
幼少時代はアイスホッケーと野球の両方をしていたが、小学2年生から本格的に野球に取り組むようになった。2001年には地元の少年野球チーム「オール羽曳野ボーイズ」で、全国大会ベスト8、世界大会3位という成績をおさめた。50を超える高校からスカウトを受ける中、東北高等学校に入学。2年生の春夏、3年生の春夏と4度の甲子園に出場。3年春(04年)の対熊本工業高等学校戦では、ノーヒット・ノーランを達成、史上12度目、10年ぶりの快挙だった。
同年のプロ野球ドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズが、単独1位指名。契約金1億円、年俸1500万円、出来高5千万円という好条件で、05年プロ入りした。
2年目の06年、12勝を挙げて、44年ぶり2度目の優勝に貢献し、日本シリーズ優秀選手賞を受賞。翌07年には、15勝5敗で、全7項目の選考基準を満たして沢村賞を受賞。パ・リーグ最優秀選手賞(MVP)も獲得した。08年には、エースとして北京オリンピックに出場。だが、敗戦投手となり、長髪を丸刈りにして話題になった。
07年から現在まで、5年連続で防御率1点台を記録。09年と10年には最優秀防御率に輝いた。最多奪三振を3度、ゴールデンクラブ賞を2度獲得している。通算成績、93勝38敗で防御率1.99、1250奪三振(11年シーズン終了時点)。
12年1月18日、ポスティング(入札)制度で、大リーグ、テキサス・レンジャーズと契約。推定6年総額6千万ドル(約46億円)、入札額5170万ドル(約39億8千万円)と、同制度を利用して移籍した選手のなかで史上最高額での契約となった。
身長196センチ、98キロと恵まれた体格を活かして、時速156キロ(最速)の速球、加えて、数種類のスライダーや球速の違う数種類のカーブ、カットボール、チェンジアップ、フォークボールなど多彩で質の高い変化球を使い分ける。
プライベートでは、08年にタレントの紗栄子と結婚し、2子をもうけていたが、12年レンジャーズとの契約正式発表同日に離婚を発表した。高校時代には、喫煙で停学処分を受けるなどといった事件もあり、やんちゃな部分を持つようだが、一方、開発途上国への水の支援のため、公式戦1勝ごとに10万円の寄付を行ったり、故郷・大阪府羽曳野市に、子どもの福祉のための寄付を同様に行ったりしている。また、同市に、硬式野球のグラウンド建設のための費用を出したいと申し出、実現に向かっているなど、多様な社会貢献も行っている。
(菘(すずな)あつこ フリーランス・ライター / 2012年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報