児童文学作家。神戸市生まれ。大阪学芸大学(現大阪教育大学)卒業。17年間小学校教師を勤め、その間、児童詩誌『きりん』の編集に携わる。自らも詩や小説を書き、1965年(昭和40)、灰谷文学の原点ともいうべき『せんせいけらいになれ』を著す。74年不幸な境遇の子にヒューマンな愛情を注ぐ若い女教師を中心に今日的問題を扱った『兎の眼(うさぎのめ)』(日本児童文学者協会新人賞)を発表。幅広い読者層を得、続いて『太陽の子』(1978)もミリオンセラーとなる。78年『ひとりぼっちの動物園』で小学館文学賞、79年その文学的業績によって第1回路傍の石文学賞を受賞。そのほかの作品に、17年間の教師生活を通じて知った子供たちについてつづった『わたしの出会った子どもたち』(1981)、15年の歳月をかけて完成させた自然賛歌の『島物語』全5冊(1983~98)、『我利馬(ガリバー)の船出』(1986)、詩集に『きりんの詩集 子どもの詩が生まれた』3冊(1986)など、エッセイ・対談・評論集に『灰谷健次郎エッセイ集 島へゆく』『同 島で暮す』(1981、82)、教育哲学者・林竹二(1906―85)との対談『対談 教えることと学ぶこと』(1979)、『灰谷健次郎アクショントーク わたしの子ども時代・青春時代』(1990)、『林先生に伝えたいこと』(1991)などがある。
1990年代後半以降には、『はるかニライ・カナイ』(1997)や長編小説『天の瞳(ひとみ)』がある。『天の瞳』は、1996年(平成8)に新潮社から「幼年編」が発刊されたが、98年版権を角川書店に移し「幼年編」「成長編」から2004年の「あすなろ編2」まで発刊された。エッセイ集に『優しい時間』(1996)、『いのちまんだら』(1998)、石川文洋(ぶんよう)(1938― )写真のアジア紀行『アジアを生きる』(2001)など。全集などとして、『灰谷健次郎の本』全24巻(1987~89)、『灰谷健次郎童話館』13冊(1994~95)、『灰谷健次郎の発言』8冊(1999)がある。
[西本鶏介]
『『せんせいけらいになれ――詩のコクバン』(1965・理論社)』▽『『兎の眼』(1974・理論社)』▽『『太陽の子』(1978・理論社)』▽『『短編集 ひとりぼっちの動物園』(1978・あかね書房)』▽『『わたしの出会った子どもたち』(1981・新潮社)』▽『『灰谷健次郎エッセイ集 島へゆく』『灰谷健次郎エッセイ集 島で暮す』(1981、82・理論社)』▽『『島物語1 はだしで走れ』『島物語2 今日をけとばせ』『島物語3 きみからとび出せ』『島物語4 ほほ笑みへかけのぼれ』『島物語5 とべ明日へ』(1983~98・理論社)』▽『『我利馬の船出』(1986・理論社)』▽『『きりんの詩集 子どもの詩が生まれた』3冊(1986・理論社)』▽『『灰谷健次郎の本』全24巻(1987~89・理論社)』▽『『海の物語1 海の歌がきこえてくる』『海の物語2 あした呼ぶ海へ』(1988・金の星社)』▽『『海の図』上下(1988・理論社)』▽『『灰谷健次郎アクショントーク わたしの子ども時代・青春時代』(1990・社会思想社)』▽『『林先生に伝えたいこと』(1991・新潮社)』▽『『舟で想う、畑で考える――自給自足をたのしむ心と体』(1993・第三書館)』▽『『灰谷健次郎童話館』13冊(1994~95・理論社)』▽『『優しい時間』(1996・読売新聞社)』▽『『すべての怒りは水のごとくに』(1997・倫書房)』▽『『はるかニライ・カナイ』(1997・理論社)』▽『『天の瞳 幼年編1・2』『天の瞳 少年編1・2』『天の瞳 成長編1・2』『天の瞳 あすなろ編1・2』(1998~2004・角川書店)』▽『『いのちまんだら』『いのちまんだら アメリカ嫌い』(1998、99・朝日新聞社)』▽『『灰谷健次郎の発言』8冊(1999・岩波書店)』▽『『アジアを生きる』(2001・実業之日本社)』▽『『風の耳朶』(2001・理論社)』▽『林竹二・灰谷健次郎著『対談 教えることと学ぶこと』(1979・小学館)』▽『清水真砂子著『子どもの本の現在』(1984・大和書房)』▽『萬屋秀雄著『現代児童文学の展開――現代児童文学作家論2』(1986・大阪教育図書)』▽『小倉知加子著『風を野に追うなかれ』(1989・講談社)』▽『岡田純也著『子どもの本の魅力――宮沢賢治から安房直子まで』(1992・KTC中央出版)』▽『神宮輝夫著『現代児童文学作家対談7 今江祥智・上野瞭・灰谷健次郎』(1992・偕成社)』▽『立松和平著『立松和平対談集 風と話そう』(1993・家の光協会)』▽『倉本聡著『倉本聡・対談紀行 上流の思想・下流の思想』(1994・理論社)』▽『住井すゑ編『住井すゑ対話集2 土は生命の創まり』(1997・労働旬報社)』▽『『灰谷健次郎まるごと一冊』(『小説新潮』7月臨時増刊号・1997・新潮社)』▽『宮崎学著『突破者の条件』(1998・幻冬社)』▽『山田洋次著『対話 山田洋次1 人生はつらいか』(1999・旬報社)』▽『二瓶弘行著『文学読書単元「太陽の子」――学級だより500号の記録』(2001・東洋館出版社)』▽『立松和平著『立松和平対談集 現代の饗宴』(2002・随想舎)』
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