化学辞典 第2版 「チオ糖」の解説
チオ糖
チオトウ
thiosugar
糖分子中のOのいずれかが,二価のSに置換されたものの総称.広義には,そのS-アルキル誘導体をも含める.置換の位置を示す数字を付して,たとえば1-チオ-グルコースなどという.ヘミアセタール環内にSが存在するピラノースは,5-チオピラノースという.5-チオグルコースの水中での組成は,α-ピラノース85%,β-ピラノース15% となる.天然産のチオ糖としては,5-チオ-D-マンノースが海綿動物から単離されている.また,チオ糖誘導体としては,生薬からグルコシダーゼ阻害剤としてサラシノールが発見されている.このほか,種々のチオ糖が合成されている.一般に,S-グリコシド(1-チオ-グリコシド)は対応するO-グリコシドよりも酸による加水分解を受けにくい.一方,アルキル化剤やハロゲン化剤などを活性化剤として用いて,グリコシド化の供与体として広く用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報