加水分解(読み)かすいぶんかい(英語表記)hydrolysis

翻訳|hydrolysis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

加水分解
かすいぶんかい
hydrolysis

水の作用により分子が分解する反応。弱酸強塩基または強酸弱塩基から成る塩は,水によりもとの酸と塩基に分解する。有機化合物の場合は構成成分に分解したり,分子の形式が変化することがあり,特有の名称で呼ばれることがある。たとえばエステルの加水分解は鹸化と呼ばれ,酸とアルコールが生じる。ショ糖の加水分解は転化と呼ばれ,グルコース果糖が生じる。また蛋白質を加水分解するとペプチド結合が開裂し,アミノ酸が生じる。

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百科事典マイペディアの解説

加水分解【かすいぶんかい】

水分子が付加するかたちで起こる分解反応。塩(えん)の場合には,その塩を構成する成分イオンが水溶液中で水と反応して他のイオンまたは分子となる。たとえば弱酸と強塩基との塩である酢酸ナトリウムを水に溶かすと,電離し,水と反応しアルカリ性を示す。強酸と弱塩基との塩である硫酸アルミニウムなどの場合には同じような反応により水溶液は酸性を示す。 有機化合物では,脂肪,酸塩化物,酸アミド,エステル,タンパク質,ペプチド,デンプン,セルロースなどが,水の作用により,あるいは酵素や強酸またはアルカリの働きが加わって,加水分解することが知られている。特にエステルの加水分解はケン化,ショ糖の場合には転化,デンプンやセルロースの場合には糖化ということがある。
→関連項目ATP加水分解酵素カリセッケン(石鹸)シリコーンゴム

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岩石学辞典の解説

加水分解

水溶液中で塩の成分イオンが水と反応して,それを構成する酸または塩基に分解する作用[長倉ほか : 1998,片山ほか : 1970].風化作用によって水酸化物が形成される作用[Hatch & Rastall : 1938].

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栄養・生化学辞典の解説

加水分解

 水解ともいう.1分子の化合物に1分子の水が反応して2分子の化合物を生成する反応.高分子化合物の場合は,相当する1個所の結合についていう.環状化合物の場合は2分子にならず,2個所の末端が生成する.例えば,CH3COOC2H5+H2O→CH3COOH+C2H5OH(エステルの加水分解),CH3CONH2+H2O→CH3COOH+NH3(酸アミドの加水分解),H2NCHRCONHCHRCOOH+H2O→H2NCHRCOOH+H2NCHRCOOH(ペプチドの加水分解).C12H22O11+H2O→2C6H12O6(グリコシド結合の加水分解).

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世界大百科事典 第2版の解説

かすいぶんかい【加水分解 hydrolysis】

水による分解反応を広く加水分解といい,酢酸ナトリウムのような塩(えん)の加水分解,酢酸エチルのようなエステルの加水分解,デンプンやタンパク質の加水分解など,化学反応には加水分解の例が多い。強酸と強塩基との中和によりできた塩,たとえば食塩は,水に溶かすとナトリウムイオンと塩素イオンに電離するだけであるが,酢酸ナトリウムや炭酸ナトリウムのように弱酸と強塩基からできた塩,塩化アンモニウムや硫酸アルミニウムのような強酸と弱塩基からできた塩,さらに酢酸アンモニウムのように弱酸と弱塩基からできた塩は,それを水に溶かすと加水分解が起こる。

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大辞林 第三版の解説

かすいぶんかい【加水分解】

( 名 ) スル
一般に、化合物が水と反応して起こす分解反応。特に、弱酸あるいは弱塩基の塩が水に溶け、生じた弱酸あるいは弱塩基のイオンが水と反応すること。その他、エステルが水と反応して酸とアルコールを生じるなどの有機化合物の水による分解反応。弱酸・弱塩基あるいはその塩類の可逆的な加水分解を加水解離ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

加水分解
かすいぶんかい
hydrolysis

水溶液中の溶質が水分子と反応しておこす分解反応をいい水解ともいう。水に限らず、溶液中で溶質と溶媒分子とでおこる分解反応は加溶媒分解ソルボリシスsolvolysisという。
 弱酸HAと強塩基MOHの塩MAの水溶液ではA-イオン(陰イオン)が、一部水分子と反応して水酸化物イオンを生じ(式1)、また強酸HXと弱塩基BOHの塩BXの場合は、B+イオン(陽イオン)が反応して水素イオンを生ずる(式2)。

これらの平衡を加水分解平衡といい、MA塩の溶液は塩基性、BX塩の溶液は酸性を呈する。Al3+、Fe3+などの多価金属イオンの強酸塩を水に溶かすと、これらの金属イオンは加水分解を受ける。

加水分解が進行すると水酸化物になり、コロイド化したり、沈殿になったりする。

 脂肪、エステル、酸アミド、タンパク質、ペプチド、糖などの有機化合物も加水分解を受けるが、一般に水分子がHとOHに分かれる複分解反応の形式をとる。エステルの加水分解を例にとると、

となるが、反応速度は比較的遅く、酸や塩基が触媒となることが多い。有機合成や工業化学におけるとともに、生化学においても加水分解酵素が触媒となる重要な反応が知られている。[岩本振武]

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