改訂新版 世界大百科事典 「チグリジア」の意味・わかりやすい解説
チグリジア
tiger-flower
Tigridia pavonia (L.f.) DC.
アヤメ科トラユリ属Tigridiaの多年生球根植物。トラユリ,トラフユリともいう。原産地は中央アメリカで,中央アメリカではすでに1000年以上も前から栽培されていた。1球から3~5本の高さ30~50cmの茎を伸ばし,その頂端に花をつける。7~9月に咲く花の径は約10cm,外花被片は大きく平開し,雄大で美しい。花色は白・桃・赤・橙・黄・紫色やそれらの中間色。内花被片には名のようにトラのような斑(ふ)があって,その鮮やかさは抜群である。ただこのみごとな花も1日でしぼんでしまう。東京での植込期は4月中・下旬。排水のよい砂質土壌がよい。球根は秋に掘り上げ,乾かしておがくずに包むようにして越冬させる。また種子を春まきして殖やす方法もある。球根にはデンプンが含有されており,メキシコでは食用にするためにも栽植されていた。
トラユリ属は中南米に約12種があるが,トラユリ以外は花が小型である。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報