排水(読み)ハイスイ

デジタル大辞泉 「排水」の意味・読み・例文・類語

はい‐すい【排水】

[名](スル)
不用な水を排出すること。「排水孔」
物体が水に浮かんだとき、水中につかった部分と同体積の水を押しのけること。→排水量
[類語]放出排出排気流出続出頻出百出輩出新出初出

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精選版 日本国語大辞典 「排水」の意味・読み・例文・類語

はい‐すい【排水】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 不用、または有害な水を他所に排除し流しやること。また、その水。
    1. [初出の実例]「排水又は引水の為めに設けたる工作物」(出典:民法(明治二九年)(1896)二一六条)
  3. 水上に浮かんだ物体が、その水中に没した部分の体積に等しい水を他に押しやること。多く艦船にいう。
  4. 普通、水孔、排水細胞、排水毛などの排水組織から水分が水滴の状態で排出される現象。陸生高等植物および陸生菌類にみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「排水」の意味・わかりやすい解説

排水(建築)
はいすい

一般的には水を排出することであるが、建築の分野では、排水する水は、雨水、台所などからの雑排水水洗便所からの汚水に分類される。これらが、配水管悪臭を防ぐトラップ、排水枡(ます)などを通じて敷地外に導かれ、さらに下水道に排出される。下水道は、雨水と汚水が同じ下水道に流れ込む合流式と、別々の排水系統によって排除される分流式がある。流れの下流勾配(こうばい)が十分にとれないときには、排水ポンプが用いられる。

 工場からの特殊排水(工業排水)、農地排水も重要である。とくに低平な農地では作物の水分環境のために、また特殊な競技場などでも、暗渠(あんきょ)による地中の水の排水が行われる。

 排水施設の流量の設計にあたっては、汚水の場合では、1回35リットルなど基準の量を参考にする。雨水は、10分間で30ミリ、1時間では100ミリ程度を排水できるように考えるが、大掛りな土木工事では、さらに精密に、たとえば5年に1回とか、10年に1回の割合でおこるような大きさの降雨を統計的に求め、設計を行う。排水管内の流速は、遅いと土砂がたまり、速すぎると水勢によって管が傷みやすい。建築、下水道では、一般的に0.6~3メートル/秒の範囲になるよう、種々の水理公式を用い、上下流の圧力差を勘案しつつ計算をする。

[中村良太]


排水(植物)
はいすい

植物が水滴として水を排出することをいう。根から吸収された水の大部分は水蒸気となって葉から蒸散されるが、特別の排水組織をもつ植物では、水孔、排水毛などから水滴として水を排出する現象がみられる。これは、根圧が高まって水の排出が蒸散だけでは処理できなくなったときにおこるものである。野外では、吸水が盛んで蒸散が抑えられる夜から早朝にかけてよくみられ、日中はみられない。サトイモの葉ではとくに著しく、多いときは1分間に150滴に及ぶ排水がみられる。この水はほとんど純水に近いが、排水毛から出る水液には無機物や有機物が含まれることが多い。塩水植物では炭酸カルシウムを主体にケイ酸塩などを含んでいる。

[吉田精一]

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世界大百科事典(旧版)内の排水の言及

【水分平衡】より

…また嘔吐,下痢,発熱などは脱水に連なる症状を起こしやすく,乳児では口渇を感じても自分で飲水行動が取れないなどの事情もこれに加わるからである。脱水【大原 孝吉】
[植物]
 植物体の水分の増減は,根からの水の吸収と蒸散や排水guttationによる水の喪失との差による。この差が正となるか負となるかを決める要因は土壌,植物体内および空気それぞれの水ポテンシャル,気孔の開度および植物体内の水の移動に対する抵抗である。…

【農業】より

…(4)自然条件の変動の影響,それに左右されることの大きさ 農業生産とくに作物栽培は,気温の急変,降水量や日照量の多寡やその急変によって,豊凶が支配されることが著しく大きい。自然条件の変動によるこの豊凶の大きな幅は,品種改良や農業技術の進歩,灌漑・排水設備の整備などによって,ある程度まで縮小することはできるが,その変動を完全になくすることはできない。 農業生産の第3の技術的特質は,有機的な生物生産行程と無機的な機械・工学的行程の二つの行程が併存し,両者が結びついて生産が行われることである。…

※「排水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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