改訂新版 世界大百科事典 「チャオアヌ」の意味・わかりやすい解説
チャオ・アヌ
Chao Anou
生没年:1767-1829
ラオスのビエンチャン王国の王。在位1804-29年。シリブンニャサーン王の第3王子。青年時代はタイの王に仕え,ビルマ(現,ミャンマー)との戦争に従軍した。1804年ビエンチャン王となり,タイとベトナムの双方に朝貢した。ラオス南部チャンパサック王国の内乱を鎮圧し,その王子ヨーをチャンパサック国王に就けた。25年タイ国王ラーマ2世の葬儀に参列の際,ビエンチャンから連行された住民やラオス王族の返還を新王ラーマ3世に求めたが拒否された。帰国後,ラオス諸国の連合によるタイからの独立を企て,タイのバンコクがイギリスの砲撃に遭うといううわさを利用して,27年タイを攻撃したがバンコク近郊で反撃され,一時はベトナムに逃れたものの,タイ軍に一族とともに捕らえられ,29年バンコクで辱めを受けて憤死した。この反乱によりビエンチャン王家は廃絶され,王国はタイの直轄領となったが,チャオ・アヌはラオス救国の英雄とされている。
執筆者:吉川 利治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報