テアトル・コメディ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テアトル・コメディ」の意味・わかりやすい解説

テアトル・コメディ

劇団名。金杉惇郎,長岡輝子夫妻,森雅之らを中心に 1931年結成。左翼演劇全盛期の新劇のあり方に反発して,M.アシャールの『ジャン・ド・ラ・リュンヌ』で旗揚げ,以後も主としてブールバール喜劇を上演。プチブル趣味といわれながら異色の活動を展開した。 34年には『藤原閣下の燕尾服』を上演し,作者飯沢匡 (当時伊沢紀) を世に送り出した。代表作はほかにクルトリーヌの『わが家の平和』 (1932) ,ビルドラックの『商船テナシティ』 (33) など。 36年解散。

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世界大百科事典(旧版)内のテアトル・コメディの言及

【喜劇】より

…笑いを下品なものと考える儒教的な道徳感や,乾いた批判的・風刺的な笑いの欠乏,情緒過多の傾向などが,文学的な喜劇を育てなかったのであろう。戦前の新劇では,喜劇に重点をおいたのは金杉惇郎・長岡輝子夫妻を中心にしたテアトル・コメディ(1931結成,36解散)の活動ぐらいであった。現在,自他ともに喜劇作家として認めている飯沢匡(いいざわただす)(1909‐94)のような喜劇作家もここから出ている。…

【新劇】より

…川口一郎(1900‐71),田中千禾夫(ちかお)(1905‐95),小山祐士(ゆうし)(1906‐82),内村直也(1909‐89),森本薫ら,市民生活の哀歓を心理的せりふの躍動で描く劇作家たちの出現である。また同じころ(1931‐36),金杉惇郎・長岡輝子夫妻の主宰する〈テアトル・コメディ〉もフランス近代心理劇を上演し,飯沢匡(1909‐94)らの劇作家を生みだした。 築地座は1936年2月に解散にいたるが,それが母体となって翌37年9月,〈文学座〉が結成される。…

【ロシア・ソビエト演劇】より

…59年劇作家アルブーゾフが,彼の名を世界的に有名にした青春劇《イルクーツク物語》を発表した。60年にはレニングラードのテアトル・コメディーTeatr komediiが,スターリン批判の寓話劇シバルツ作《影》(1940)をアキーモフ演出で初演した。 以来社会主義リアリズムも相変わらず事あるごとに喧伝されてはきたが,演劇界の実情は多彩を極めて動いている。…

※「テアトル・コメディ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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