日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビルドラック」の意味・わかりやすい解説
ビルドラック
びるどらっく
Charles Vildrac
(1882―1971)
フランスの劇作家、詩人。本名はシャルル・メサジェCharles Messager。ジャーナリストを父にパリに生まれる。初めジュール・ロマンやジョルジュ・デュアメルらと親交を結んで、集団心理の描出をモットーに掲げたアベイ派、ユナニミスム運動のリーダーの詩人として出発したが、第一次世界大戦後の1920年に『商船テナシチー』が舞台にかけられ、大当りして以来劇作に転向。その後『ミシェル・オークレール』(1923)、『赤貧の人』(1923)、『マダム・ベリアール』(1925)、『サモスの庭師』(1928)、『仲たがい』(1930)などを発表、いよいよ内面派的傾向を強くしたが、ともあれこうして両大戦間、ことに20年代、平凡な庶民の生活を題材に心温まるデリケートなドラマをそこから引き出して大衆的な人気を得た。長編動物寓話(ぐうわ)『ライオンのめがね』(1932)も有名。第二次大戦前に一度来日したことがある。71年6月28日、南フランス、サン・トロペの別荘で死去。
[渡辺 淳]