改訂新版 世界大百科事典 「テオファネス」の意味・わかりやすい解説
テオファネス
Theophanēs
生没年:760ころ-818
ビザンティン時代の修道士,年代記作者。ビザンティン帝国の高官の家に生まれ,短い結婚生活ののち修道院に入り,皇帝レオン5世のイコノクラスムに抗し,教会から〈信仰告白者Homologētēs〉として聖人に列せられた。友人ゲオルギオス・シュンケルロスの世界創造からディオクレティアヌス帝の284年に至る未完の年代記を継承,アレクサンドリア暦に基づく世界創造年代を軸とした813年までの編年体ビザンティン帝国史《年代記Chronographia》を,811-814年に執筆。総主教ニケフォロスNikēphoros(829没)の602-769年の《年代要記Chronographikon syntomon》とともに7~8世紀のビザンティン帝国の最重要史料。後代のビザンティン年代記のみならず,ローマ教会図書館員のアナスタシウスAnastasiusのラテン語訳(9世紀の70年代)を通じ,中世西ヨーロッパにおける歴史記述にも影響を及ぼした。
執筆者:渡辺 金一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報