化学辞典 第2版 「テトラフルオロホウ酸」の解説
テトラフルオロホウ酸(塩)
テトラフルオロホウサンエン
tetrafluoroboric acid(tetrafluoroborate)
酸:HBF4(87.81).水溶液でのみ存在する.水溶液は,H3BO3とHF,Ba(BF4)2とH2SO4との反応などで生成する.水溶液は無色.強い一塩基酸.構造の似たHClO4に化学的性質も似ている.塩製造の原料などに用いられる.[CAS 16872-11-0]
塩:アルカリ金属,アルカリ土類金属だけでなく,そのほかの重金属塩,ニトロシル塩(NO)BF4なども得られている.たとえば,Na[BF4](109.79)は,水溶液中でH3BO3,HF,Na2CO3の反応,またはHBF4とNaF,ホウ砂とBrF3との反応などで生成する.斜方晶系.結晶は正四面体型のBF4-を含み,BaSO4と同じ構造.密度約2.47 g cm-3.B-F約1.41 Å.空気中で安定である.融点384 ℃(分解).水に易溶,エタノールに微溶.フッ化剤,また電気めっき液に加えたり,はんだの融剤に用いることがある.K[BF4](125.90)は,水溶液中でH3BO3,HF,KOHとの反応,またはHBF4とKOHとの反応などで生成する.無色の斜方晶系結晶.密度約2.50 g cm-3.融点530 ℃.KClO4に似て水に難溶.強熱するとKFとBF3に分解する.[CAS 13755-29-8:NaBF4][CAS 14075-53-7:KBF4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報