山川 世界史小辞典 改訂新版 「テュッセン」の解説
テュッセン
Thyssen
ドイツ最大の鉄鋼コンツェルン,またその創業者一族の名。アウグスト・テュッセン(August Thyssen,1842~1926)が1867年にデュースブルクに設立した帯金圧延工場が出発点で,以後事業を関連産業に広げ,20世紀初頭までに石炭,鉄鉱から機械製造に至る一大コンツェルンを築き上げた。息子のフリッツ(Fritz,1873~1951)は1926年鉄鋼トラストの合同製鋼創立とともにその会長になるなど,ドイツ重工業界の重鎮となったが,国家主義的思想からナチスの後援者となり,ヒトラーの権力掌握を助けた。のちヒトラーの戦争政策と対立して39年国外に移住したが,40年に捕えられ,45年まで強制収容所に拘禁された。彼の死後,未亡人が学術振興のためのテュッセン財団を設立している。テュッセン・コンツェルンは戦後一度解体されたが,のちいくつかのグループに再編,再合同している。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報