日本大百科全書(ニッポニカ) 「テラス栽培」の意味・わかりやすい解説
テラス栽培
てらすさいばい
傾斜畑地の利用法。傾斜地では雨水による表層土壌の流失を防ぐくふうが必要である。傾斜度が少ない場合は等高線栽培などによって目的が果たされるが、傾斜度が大きくなると斜面を土木的に改造する必要があり、こうしてつくられた傾斜畑地の構造をテラスterraceとよぶ。テラス栽培には次のような種類がある。水路型テラスは傾斜度5、6度までの斜面につくられ、広幅テラスともいう。斜面流去水を遮断し、等高線に沿って幹線排水路のほうへゆっくり転流させて排除する。うね型テラスは傾斜角5、6度以上の畑につくられ、横うねで流下水を一時貯留し、これを徐々に地中に浸透させ、有効水として利用することにより間接的に土壌保全の効果をあげる。階段型テラスは傾斜地を削り取り一部は埋土して、いわゆる段畑状にすることで、より急峻(きゅうしゅん)な傾斜地でも土壌流失を少なくして利用することができる。山腹など傾斜地につくられる水田も階段型テラスの一種で、棚田とよばれる。
[星川清親]