改訂新版 世界大百科事典 「ディナルアルプス山脈」の意味・わかりやすい解説
ディナル・アルプス[山脈]
Dinaric Alps
バルカン半島西側のアドリア海沿岸を北西から南東に走る山脈の総称。セルビア・クロアチア語ではディナラ山脈Dinarske planineとよばれる。スロベニア南部,クロアチアの大部分,ボスニア・ヘルツェゴビナ,モンテネグロ,セルビアの一部に及ぶ。ダルマツィア地方の山塊にあるディナラ山(1831m)にちなんで名づけられた。この山脈の最高峰はモンテネグロのドゥルミトルDurmitor山塊にあるボボトブ・クック山(2522m)で,このあたりはパルチザン戦争の舞台として有名。そのほかにも,コモビ山(2483m),マグリチ山(2386m)など2000m級の山がある。アドリア海岸の典型的なカルスト地形の地域およびボスニア・ヘルツェゴビナ,クロアチア,西セルビア地方の豊富な鉱脈や森林などの自然資源を含んでいる。また,南東ヨーロッパの気候に影響を及ぼし,海岸部の地中海式気候と東部の内陸性気候を分ける。
執筆者:柴 宜弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報