鉱脈(読み)コウミャク

デジタル大辞泉 「鉱脈」の意味・読み・例文・類語

こう‐みゃく〔クワウ‐〕【鉱脈】

岩石割れ目を有用鉱物が満たしてできた板状鉱床多くマグマから出た熱水溶液が鉱物を沈殿させてできる。
[類語]地層炭層油層泥炭層・砂礫層・鉱床金脈岩盤古生界中生界新生界第三紀層第三系洪積層沖積層断層活断層露頭

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精選版 日本国語大辞典 「鉱脈」の意味・読み・例文・類語

こう‐みゃくクヮウ‥【鉱脈・礦脈】

  1. 〘 名詞 〙 地殻や岩石の割れ目をうめた板状の鉱床。大部分はマグマから出た鉱化ガスや鉱液が結晶化したもので、ほかに天水が流れこみ鉱物質を沈澱させたものもある。後成鉱床で、ふつう二種以上の鉱物から成る。割目裂罅(れっか)鉱床。𨫤(ひ)
    1. [初出の実例]「其の鉱脈の距離は千五百間とす」(出典:東巡録(1876)〈金井之恭〉七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉱脈」の意味・わかりやすい解説

鉱脈
こうみゃく
vein
lode

岩石中の割れ目を鉱物が充填(じゅうてん)したものを脈といい、充填鉱物が経済的に採掘可能な場合、鉱脈という。鉱脈となる割れ目には剪断(せんだん)割れ目(断層)と張力割れ目がある。剪断割れ目に形成された鉱脈は幅が狭いのに対し、張力割れ目に形成された鉱脈は広く、10メートル以上に達することもある。鉱脈中の鉱物は鉱液とよばれる100℃以上の熱水溶液からの沈殿物である。鉱液から沈殿する鉱物は、溶解度の関係で温度により異なる。高温脈(300℃以上)は錫(すず)、タングステン、中温脈(350~200℃)は銅、亜鉛、鉛、低温脈(250℃以下)は鉛、金、銀の鉱物の産出で特徴づけられる(温度は多くの仮定の下に推定されるので、括弧(かっこ)内の数値は目安)。鉱液はその温度に対応する熱水変質作用を周囲の岩石に及ぼす。時間的に連続する一連の鉱液から沈殿した鉱物のみからなる鉱脈を一回上昇脈、複数の時期の鉱液から生成した鉱脈を多回上昇脈という。

[正路徹也]

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改訂新版 世界大百科事典 「鉱脈」の意味・わかりやすい解説

鉱脈 (こうみゃく)
vein

岩石のひび(裂罅(れつか))や断層などの割れ目を満たして有用な鉱物が生成している鉱床。鉱化流体が岩石の割れ目に沿って流動して鉱物を沈殿させたものが,もっとも一般的な鉱脈である。ふつう板状で,大規模なものでは水平方向に数km,垂直方向(脈が傾いている場合には傾斜延長方向)に3km,脈幅は数十mに達するものがある。形態による人為的な分類であるから,多数のこまかい割れ目が密集している場合は鉱染鉱床となり,割れ目の一部分が肥大して筒状~芋状となれば塊状鉱床と呼ばれる。金,銀,銅,亜鉛,鉛,スズ,タングステン,モリブデン,水銀,アンチモンマンガンなど多くの金属の鉱脈が知られており,鉱床のもっとも重要なタイプの一つである。日本では,金銀鉱脈としては新潟県佐渡鉱山,鹿児島県串木野鉱山,銅鉱脈としては秋田県尾去沢鉱山,栃木県足尾鉱山,亜鉛・鉛鉱脈としては北海道豊羽鉱山,宮城県細倉鉱山(1987年閉山),長崎県対州鉱山などが代表的な例である。兵庫県生野鉱山,明延鉱山(1987年閉山)は銅,亜鉛,鉛,スズ,タングステンなど多種の金属を産する特異な鉱脈として世界的に著名である。
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百科事典マイペディア 「鉱脈」の意味・わかりやすい解説

鉱脈【こうみゃく】

岩石の割れ目を満たし,走向,傾斜方向にある程度連続する形の鉱床。大多数は気成鉱床熱水鉱床だが,まれに天水の作用や変成作用によるものもある。割れ目に沿う交代作用で生じた板状の鉱床を交代性の鉱脈ということがある。伊豆金鉱床,兵庫県生野鉱山の銅鉱床などは鉱脈の例。日本では古来,【ひ】と呼ぶ。

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岩石学辞典 「鉱脈」の解説

鉱脈

鉱石によって充填された破砕帯[Lindgren : 1928].(ひ)と同じ意味で,鉱石鉱物のみの鉱石あるいは鉱石鉱物と脈石鉱物が混ざった鉱石が岩石中の割れ目または割れ目群を充填して板状またはシート状をしたもの[片山ほか : 1970].

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉱脈」の意味・わかりやすい解説

鉱脈
こうみゃく
metalliferous vein

岩石の割れ目に入込んでいる板状の鉱床。気成作用熱水作用,天水降下作用などにより鉱石鉱物が沈殿したもの。鉱床としては最も普通にみられる型。

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普及版 字通 「鉱脈」の読み・字形・画数・意味

【鉱脈】こうみやく

脈状の鉱床。

字通「鉱」の項目を見る

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