日本大百科全書(ニッポニカ) 「デラマドリ」の意味・わかりやすい解説
デラマドリ
でらまどり
Miguel de la Madrid Hurtado
(1934―2012)
メキシコの政治家。第20代大統領(在任1982~1988)。メキシコ国立自治大学で法律学を学んだあと、1960年メキシコ中央銀行に入り、さらに奨学生としてハーバード大学に留学、行政学を修めた。1965年財務省に入省し、その後1970年メキシコ石油公社(PEMEX)副総裁、1975年財務次官、1979年予算企画相などを歴任した。1982年7月の大統領選挙で与党の制度革命党(PRI)から立候補して当選し、同年12月に就任したが、就任直前にメキシコ史上最悪とされる金融危機が勃発(ぼっぱつ)し、累積対外債務の返済問題など経済の再建が最大の課題となった。就任直後に結ばれた国際通貨基金(IMF)との合意に基づき、為替(かわせ)自由化や国公営企業民営化など経済自由化政策を推進し、1986年8月に実現したメキシコのガット(関税および貿易に関する一般協定=GATT。世界貿易機関=WTOの前身)加盟にも尽力した。次のサリナスCarlos Salinas de Gortari(1948― )政権では新自由主義経済体制が確立するが、デラマドリ政権はその転換期とされている。
[後藤政子]