データフローコンピューター
data flow computer
記憶装置との間でデータを一つずつやりとりしながら,命令を順々に実行していく従来のコンピューターとは違って,データがそろうごとに演算が行われるしくみの特殊コンピューター。例えば,z=(x+y)*(x-y)という計算は,
u=add(x,y)
v=sub(x,y)
z=mul(u,v)
に分解されて行われる。この場合,xとyの値が,add(加算)回路およびsub(減算)回路に流れていくと,加算と減算が行われ,その結果のuとvがでた時点で乗算が行われてzが求まるわけである。上述のような式を書くとき,左辺には同じ変数名は1回しか書かないというルールを守れば,式を並べる順序はどうでもよい。データフローという名まえはデータが流れるにつれて演算が行われるというところからきている。
執筆者:石田 晴久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のデータフローコンピューターの言及
【コンピューターアーキテクチャー】より
…この方式はフォン・ノイマンによって提案された方式で,ノイマン型コンピューターと呼ばれる。この方式に対し,プログラムカウンターがなく,オペランドデータがそろった機械命令はプログラムのどこにあっても実行できるようにした方式をデータフロー(データ駆動)コンピューターと呼ぶ。1970年代半ばに提案されたが,純粋な形でのシステムは無駄が多く,実用にならなかった。…
【コンピューター】より
…たとえば,ノイマン型のCPUを並べた並列コンピューターは通常は非ノイマン型だが,狭義では非ノイマン型と呼ばない。 狭義の非ノイマン型コンピューターの代表的なものは,シーケンサーがプログラムの実行を逐次制御するのではなく,演算に必要なデータがそろうと演算が行われるというモデルに基づくデータフローコンピューターや,神経回路網をモデルにしたニューラルコンピューターなどである。
[可用性による分類]
コンピューターを特定の用途向けに設計したときは専用コンピューターと呼ぶ。…
※「データフローコンピューター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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