改訂新版 世界大百科事典 の解説
データフローコンピューター
data flow computer
記憶装置との間でデータを一つずつやりとりしながら,命令を順々に実行していく従来のコンピューターとは違って,データがそろうごとに演算が行われるしくみの特殊コンピューター。例えば,z=(x+y)*(x-y)という計算は,
u=add(x,y)
v=sub(x,y)
z=mul(u,v)
に分解されて行われる。この場合,xとyの値が,add(加算)回路およびsub(減算)回路に流れていくと,加算と減算が行われ,その結果のuとvがでた時点で乗算が行われてzが求まるわけである。上述のような式を書くとき,左辺には同じ変数名は1回しか書かないというルールを守れば,式を並べる順序はどうでもよい。データフローという名まえはデータが流れるにつれて演算が行われるというところからきている。
執筆者:石田 晴久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報