犯罪行為やテロ組織と無関係で犯罪歴がなく、危険度が低いと判断された渡航者を対象に、事前の承認と指紋登録により、出入国手続を簡略化する制度。登録者は国際空港に設置された無人の「自動化ゲート」で、指紋認証とパスポート照合を行えば出入国が可能となるため、出入国審査にかかる時間が短縮できる。信頼できる渡航者制度、トラステッドトラベラープログラムともいう。
政府は2007年(平成19)に施行された「観光立国推進基本法」(平成18年法律第117号)に基づき、2012年3月に閣議決定した基本計画において、2020年までに訪日外国人を2500万人(2011年推計622万人)に拡大する目標を掲げている。そのための重点施策として、出入国手続の迅速化、円滑化に取り組んでいる。2015年ごろに商用などで出入国回数の多い訪日外国人から本格的な運用をはじめる見通しで、以降、訪日観光客へも対象を拡大する予定である。また、外国人の乗客数が多いクルーズ船利用者についても、指紋認証だけで上陸できる制度を検討している。なお、有効なパスポートをもつ日本人と、再入国許可により出国する外国籍の人については、2007年から自動化ゲートでの審査が運用されている。利用者登録はフライト当日に空港で行うことができ、手数料や利用料は無料である。
同様の制度がアメリカではグローバルエントリーGlobal Entryとよばれる。計画当初は米国内での出入国手続だけに適用されたが、現在は互恵協定を締結した国々との間でも運用されている。すでにオランダ、メキシコ、カナダと協定を結んでおり、韓国、ドイツ、イギリス、シンガポールなどとも協定締結に向けて協議が進んでいる。
[編集部]
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