内科学 第10版 「トリクロルエチレン中毒」の解説
トリクロルエチレン中毒(有機物質中毒)
定義・概念
トリクロルエチレンは塗料の溶剤,レンズ磨き,ドライクリーニングでよごれ落としとして使用され,これらの作業中に高濃度蒸気を吸入することにより発症する.
病理
末梢神経の脱髄,軸索変性をきたす.
臨床症状
急性暴露では,多幸感,さらに高濃度では意識障害をきたす.慢性暴露では末梢優位の運動・感覚障害(ポリニューロパチー),振戦,小脳失調,視力障害などをきたす.
治療
特殊な薬物療法はなく,対症療法が主体になる.[内野 誠]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報