改訂新版 世界大百科事典 「トリスタンダクーニャ島」の意味・わかりやすい解説
トリスタン・ダ・クーニャ[島]
Tristan da Cunha
南大西洋にあるイギリス領の火山性洋島。面積98km2,人口276(2005)。アフリカの喜望峰と南米大陸のほぼ中間,南緯37°6′,西経12°15′の大西洋中央海嶺上に位置し,付近の無人島イナクセシブル島,ナイチンゲール島などと群島を形成する。最高2060mに達する円錐形の島で,偏西風のため気候は温和である。主産業は漁業で,自給的なジャガイモ栽培も行われる。1506年ポルトガル人トリスタン・ダ・クーニャが発見,1816年セント・ヘレナ島のナポレオンを監視するためイギリス海軍が占領した。1938年よりゴフ島とともにセント・ヘレナ植民地の付属島嶼で,第2次世界大戦中には気象・放送基地が建設された。住民は駐留軍人や難波船乗組員の子孫が多く,ビクトリア時代の英語を話す。61年に火山が噴火,島民はイギリスへ疎開したが,63年帰島。
執筆者:長谷川 孝治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報