トロピリウムイオン

化学辞典 第2版 「トロピリウムイオン」の解説

トロピリウムイオン
トロピリウムイオン
tropylium ion

C7H7(91.13).シクロヘプタトリエニルカチオンともいう.シクロヘプタトリエン(融点-79.5 ℃,沸点115.5 ℃)のメチレン基のH原子1個を陰イオンとして抜いた陽イオン種で,七員環状6π電子系の非ベンゼン系芳香族化合物.シクロヘプタトリエンを臭素化,脱臭化水素する方法や五塩化リン,トリチル塩などで水素陰イオンを引き抜く方法で合成される.臭化物塩(X=Br):黄色の針状晶,分解点203 ℃.λmax 218,274 nm(log ε 4.70,361,0.1 mol L-1 塩酸).各種の求核試薬と反応してトロピル誘導体となる.相当するアニオン(トロピルアニオンtropyl anion)は8π電子系のアンチ芳香環であり,λmax 750 nm(THF).[CAS 26811-28-9][別用語参照]ヒュッケル則非ベンゼノイド芳香族化合物

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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