改訂新版 世界大百科事典 「ドナクス」の意味・わかりやすい解説
ドナクス
Donax cannaeformis (Forst.) Schum.
クズウコン科の低木状の多年草。高さ1~2mになり,茎は直立し上部で分枝する。葉は枝端部に互生し,葉身は長楕円形で長さは10~15cm,葉鞘(ようしよう)は発達し茎を抱く。花は茎頂のまばらな円錐花序につき,白色。ミャンマーからマレーシア地域,さらにメラネシアまで広く分布し,水湿地に群生することが多い。より大型になるドナクス・グランディスD.grandis(Miq.)Ridl.はスマトラ,マレー,ボルネオに分布する。両種とも,そのまっすぐな茎を裂き,マットやバスケットを編むのに利用されている。水湿に強く腐りにくいので,帽子や魚とり用のわなにも用いられる。マレーでは若く柔らかな茎をいくつかの病気に用いるというし,中国では解熱や咳止めの民間薬とされる。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報