改訂新版 世界大百科事典 「ドプレ」の意味・わかりやすい解説
ドプレ
Marcel Deprez
生没年:1843-1918
フランスの技術者。送配電技術において長距離送電や並列式交流配電方式などの方向づけを行った。高等鉱山学校École supérieure des Minesで学んだ。北部鉄道Chemin de Fer du Nordに入り,蒸気機関車用計器を開発した。電気にも興味をもち,1878年に検流計を考案,これは82年にダルソンバールJ.A.d’Arsonvalによって改良され,広く使われた。ドプレは,長距離送電について1881年のパリ電気博覧会で講演した。この講演に感銘を受けたドイツ人ミラーO.von Millerと協力して,82年のミュンヘン電気博覧会で長距離送電デモンストレーションを行った。このとき,電信線を利用して,ミースバーハからミュンヘンまで57kmを0.5馬力の電力が直流2kVで送られた。このデモンストレーションの成功によって,長距離送電の可能性が信じられるようになった。ドプレはまた,交流配電網発達の初期において定電流直列システムと定電圧並列システム(今日の送配電網はこの方式によっている)の相違を洞察し,後者が優れていることを主張した。
執筆者:高橋 雄造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報