改訂新版 世界大百科事典 「ナッハース」の意味・わかりやすい解説
ナッハース
al-Naḥḥās
生没年:1876-1965
エジプトのワフド党政治家。1927年サード・ザグルールの死後ワフド党党首となり,イギリス軍事支配下のエジプトの半独立状態打破のため,対英条約交渉を実現すべく両大戦間期に議会内外で国民運動を指導,自らも何度か政権を担当した。しかし,30年代前半期の世界恐慌による大不況とエジプト周辺でのイギリス・イタリア関係の緊張とを背景に,ナッハースは対英条約交渉の重点を,完全独立から経済摩擦調整問題にすりかえ,両国間の政治的・経済的宥和をはかることを最重要視した。〈親英派〉の首相として36年イギリス・エジプト友好条約を実現させ,完全独立の明文化と引換えに,エジプトに新たな対英軍事協力をもたらした。
執筆者:藤田 進
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